2015年12月9日水曜日

セイザーX・最終話

第三十八話「友情は時空を越えて・・・」

[ネオデスカル:ネオデスカル]
暗黒恐獣ダークゲラン登場

 演出:市野龍一    脚本:林 民夫


<集結する未来>

前回からの続き。
ダークゲラン内部ではライオセイザーとブラックライオがそれぞれ武器を持ち出して対峙。
そして、グレートライオとダークゲランが相対している姿を見つめていたのは
かつて拓人が助けた二人の子供。
きっとあの兄ちゃんが地球を助けてくれる。 そうつぶやきながら。


コアブレイバーに乗り込んだアドとケインが装着、ブレアードを伴ってダークゲランの腹へ突入する。
そのときの衝撃が、ダークゲラン内部のライオたちにも伝わる。
五分後にハウリングキャノンをグレートライオが、内部から四人で必殺技を撃つことで話が決まっていたため
急いで内部に侵入するイーグルたち。
そして、ライオと合流するイーグルとビートル、ブレアード。

レミーはタイミングを測っていると同時に、ハウリングキャノンのエネルギーを充填していた。
一発分のエネルギーしか残されていない。


一方内部では、ブラックライオの胸にライオン1があることを確認したイーグルたちがブラックライオを羽交い絞め。
ライオがもぎ取ることに成功するも、すぐに羽交い絞めをはらいカプセルを引き寄せようとする。

しかし・・・
ライオン1はダークライオの手元に戻ることを拒絶。
ライオの手元に帰ってくる。 ライオファイヤーをブラックライオに叩き込み、消滅させたのだが・・・
既に実体のないブラックライオ。
闇そのものを撃破しない限りはネオデスカルの意識も消滅しないのである。


既に時間はない。レミーとの作戦時間まで残り数秒となった
ライオセイザーが、イーグルセイザーが、ビートルセイザー、そして火将軍ブレアードが
必殺技をダークゲラン内部へ叩き込む。
そして外部からはハウリングスラッシュを浴びせるグレートライオ

その斬撃の、Xの炎が拡がる。
内部からの発光が強くなり、ダークゲランの体が持たなくなっていく。
そして――――――    世界を一つに、ネオデスカルの断末魔と共にダークゲランが爆破四散した。
空の闇も消え去り、青空と雲が帰ってくる。


ダークゲランの内部から、ライオン1のバリアに包まれて戻ってきた4人。
これで、ネオデスカルとの戦いは終わった。
子供たちは、信じていたよと安堵した。
見守っていた一同に迎えられる拓人たち。 そして・・・。


<未来を創るための別離>

 シャークが、拓人に告げる。
現代の地球人代表として、コスモカプセルへ願いを告げろと。
その瞬間に未来は変わっていくと付け加えて。
戸惑う拓人にレミーは、私たちがこれからの未来を創るのと拓人を後押し。

拓人は意を決して願う。
ここに居るみんなの願いを。
コスモカプセルの消滅を。 消滅することで未来を変えてくれと拓人が叫んだ。
12個のコスモカプセルが輝きながら、円を組んで宙に浮かぶ。


そして、未来からの通信が回復した。
トビーから、未来の宇宙から闇が消滅したことを伝えたのだが
すぐに通信が途絶してしまった。
そしてコスモカプセルが消滅した――――――――――――。


しかし、その後すぐに・・・
コスモカプセルがそれぞれの人間の目の前に現れた。
ケインやアド、三将軍には何か映像を見せたようだが拓人やレミーには何も見せていない。

この現象にシャークはあることを察した。

古代から続いた争奪の歴史、コスモカプセルを巡る争いの果てに、カプセルそのものの消滅を願ったものは過去に居たはず。
それにも関わらず、今なおカプセルは残り続けていた。
コスモカプセル自体が消滅するということはないことを証明していると。

そしてコスモカプセルは、願いをかなえる力を持つと同時に武器としての力も備えている。
そんなコスモカプセルだが、もし12人が代々、住む場所を違えても持ち続ければまた一箇所にそろうことは無いだろう。
コスモカプセルは、自分たちを持つに相応しい12人の戦士を探していたのだ。

以上のことをシャークが推察として述べる。
それと同時にシャークの頭上の空間が輝き出す。
その光はシャークが消滅することを示していた。

宗二郎とレミーに別れを告げる。
そして残りの人間全てに、ステキな未来を創ってくれと言い残し
シャークの体が光に包まれ――――――    レミーが駆け寄った時には消えてしまった。
同時に、流星神たちも光とともに消える。
さらにストレージリングも消えてしまった。


シャークが消えた時、セイザーXとして戦う力もその時、同時に失われた。


<素敵な未来へ!>

安藤家へ戻った一同。
アドが言う。 このコスモカプセルに映った世界が、これから自分たちが生きていく未来である。
元いた世界には戻ることは無い、とアドは付け加える。
そして自分たちは過去と未来に分かれたコスモカプセルの戦士になる。
そこまでアドが言った時、三将軍のコスモカプセルが輝き出した。

まずは彼らが、宇宙へ還って行く。
拓人との決着をつけたかったとこぼしたブレアードだが、なんで友達と決着をつけなきゃいけないんだよと返す拓人。
アクアルが永遠にカプセルを持ち続けるわと約束し、ブレアードが最後に何かを言おうとするが
その直前に消滅してしまう。


続いてゴルドとパトラ。
未来の世界で、夫婦で大学芋屋を開いているのだという。
涙でアドに別れを告げるゴルド。 もう喧嘩しちゃダメだよとレミーが告げた次の瞬間
二人仲良く消えてしまう。

そしてケインとツインセイザーは、三人一緒の世界へ旅立つことになった。
ケインは別れ際、レミーには悲しいときほど笑顔だとアドバイスし、
拓人には、何処に居ようとも僕達は友達だよと告げて、 皆に別れの挨拶をして行った。


最後はアド。
どうやら現代のビオード星へ行くことになったようだ。
この時代で、この地球で家族の素晴らしさに気づいたアド。
ビオード星には家族と言う形態がないのだが、 家族の素晴らしさ、家族への思いやりに気づいたアドが
現代のビオード星を、その素晴らしさをもって変えろというコスモカプセルの導きなのだろう。
拓人にそれを教わったことを告げ、 ここで出会ったことは忘れないと言い残し
アドもまた自分の世界へと消えていった。


残されたレミーと由衣、拓人のカプセル。
自分たちのカプセルだけ何も見えないのはどうしてだろう?とつぶやく拓人だが、宗二郎は自分で未来を決めろということだろうと返した。
それぞれにカプセルを持ち、未来への展望に顔をほころばせる。


そして数ヵ月後。
父との約束どおり、イギリスへ渡るため春子と由衣に別れを告げる拓人。
そして宗二郎にも出かけることを告げる。
宗二郎は目に涙を溜め、大きくなったな、と拓人の成長を喜んだ。

拓人がガレージを出ると、工事現場のバイトから夜勤明けで帰ってきたレミーと出くわす。
タイミングが良かったようだ。
拓人はレミーに安藤家を任せるぜと告げる。
そしてレミーは、拓人みたいに人に勇気や希望を与えてみたいと言い、別れ際に
素敵な未来を創ろうと互いに約束、
ハイタッチして、それぞれに行く道を、帰る場所へと別れていった。


それぞれの生きる時代で、それぞれの生きる場所で、それぞれに未来を生きていく12人。
コスモカプセルによる争いは、彼らが子々孫々守り通す限りもう起こる事はないだろう。
そして、セイザーXとしての戦いが、コスモカプセルを巡る争いの歴史の終着点となることを祈って。

未来をありがとう、超星艦隊セイザーX。


【レビュー】

最終決戦三部作・ラスト。
もはや意見のぶつけ合いは平行線となった以上、実力でネオデスカル=闇そのものを撃破し
自分たちで、コスモカプセルによって未来を変えることに成功したセイザーX。

シャークが消えると同時に自らが開発に携わった流星神とセイザーXの装備も消失。
さらに少しだけ復活したトビーの通信がすぐに切れたことで、未来の歴史が変わったことが伝わる。

そしてコスモカプセル自体は、存在が消えることはない。
だが、それぞれの時代で、それぞれが星を隔てて代々持ち続けている限りはまた12個集まることもなく、
ひいてはコスモカプセル争奪戦が起こることもなくなるだろうというシャークの願いは、拓人たち12人に託されることとなった。

三将軍は宇宙へ帰り、ゴルドとパトラは夫婦で商売に、ケインはツインセイザーと共にふるさとへ。
そしてアドは現代のビオード星へと消えていくのだが、
アドだけ中盤語られたビオード星の設定を受けた話が語られていたのが印象的だ。
#ビオード星は家族の形態を持たない。
拓人との別れの際、拓人が一瞬アドを見るのを躊躇うあたりも、二人の関係性の変化を考えると深みのあるシーンだ。


レミーと拓人が最後、ハイタッチで別れつつそれぞれに行く道、帰る場所に行くラストカットは、本作でもっとも感動的かつテーマを体現したシーンと言っても良かろう。


そして本作の最終決戦だが、前二作よりは最終決戦らしい重苦しい雰囲気を出すことに成功している。
昼間の映像にフィルターをかけただけとは言うが、闇に包まれつつある地球の映像としては無難と言っていい。

一方ラストの、四人が必殺技を放つカットだがここはちょっと安直感が否めない。
最後までヒーローものとしてのケレン味からズレた演出で〆たのも、超星神シリーズらしいといえるだろうか?


こうして「超星艦隊セイザーX」全38話は終了。
と同時に3作に渡って作られた「超星神シリーズ」もこれにて終了となった。


【特撮の見どころ】

・消滅していくシャークと流星神
・コスモカプセルの光と共に消えていく未来の人間たちと宇宙海賊

VFX・CGがらみである。
やはり相変わらず違和感の少ない合成をしているというのが印象的でもあった。
また、前二作同様エンディングは特別版になったが
本作ではコスモカプセルに対応した12人のバストアップが映し出されるという趣向。
そのバックは、CGによって描かれた太陽系銀河を、地球から遠ざかる形で映し出している。