2014年12月31日水曜日

ジャスティライザー・第二十五話

第二十五話 「まぼろしの勇者」

[幹部:ゼネラルバッカス]
デストコマンド・ツインズナイト兄弟登場

監督:鹿島 勤    脚本:浦沢義雄


<ジャスティパワーの示す新しい力>

冒頭。澪がジャスティクリスタルの光を浴びつつ物思いにふける。
力が力を呼び、争いが争いを生むのであれば、自分たちが本当にするべきことは何なのかと自問する。

ハデス戦艦内では、デモンナイトが死んだのではとその安否を疑うハデスだが
バッカスはすぐさまデストコマンド・ツインズナイト兄弟を呼び出す。
今度こそジャスティライザーを抹殺するために。

一方、澪がクッキーを焼いている。
澪は以前真也に庇われたことなどを思い出しては真也に想いをはせる。
その真也も、釣りをしながらもどことなく呆けている様子。

伊達電器店ではそのクッキーの試食を翔太、真也、源太郎に対して薦める。
のだが、そのクッキーらしからぬ味に表情を歪める三人。
やがてそれぞれに用事を思い浮かべ退散。
ユカは先に試食したようで、ゲンナリした表情を浮かべて見つめる。
そこへ麗香が現れクッキーを食べると、実に美味しそうに頬張る。
そしてその流れで外でランチへ出かける女性陣。

そのランチ中、ゴミを捨てようとゴミ箱に捨てるのだがそれはツインズナイトの擬態。
あわてて装着して立ち向かうユカだが、次いで翔太と真也を通信で呼ぶ。
ツインズナイトはコンビネーションでカゲリを圧倒。続いてやってきたガントも蹴散らす。
最後に駆けつけたグレンも戦いに混ざるも、コンビネーションにてこずってしまう。

まるで歯が立たない三人だったが、ツインズナイトがそれぞれにトドメを譲り合ううちにスキが生じ
三人そろっての必殺技を叩き込まれようとしてしまう。
しかし当たる直前でバリアに囲まれて撤収。
バッカスは「戦いはどちらかが死に絶えるまで続くのだ」と言い残す。

<蒼き星の勇者>

伊達電器店。
澪はここまでの戦いで、三人のジャスティライザーが本当の勇者であることを称える。
それぞれの持つ正しい心が勇者である証、それをけして忘れないように。
三人の心が一つになった時に、新しい正義が生まれるのだ。力を必要としない正義が。その時こそ戦いが終わる時だ。
そう語り終えたところで翔太が立ち上がって拍手するのだがそれをなじるユカ。
先ほどの戦いの中でそれぞれにシャクに障ったことを言い合い口喧嘩してしまう。
だが、それをよそに真也は澪と一瞬目が合う。

屋外では、澪がジャスティクリスタルへ集まるエネルギーを眺めつつ
ジャスティパワーは地球自身の力。穢れのない大自然の中でのみ心を通じることができると真也に語る。
先ほどの話も、ジャスティクリスタルからの啓示なのかと聞くがそれとは少し違うとも。

そんな中、再度ツインズナイトが現れる。さっきの戦いでは兄弟愛が過ぎて油断を生じたが
今度はそれを捨てての戦いとなる。
実際ツインズナイトは先ほど以上にジャスティライザーを圧倒。
しまいには合体してしまい、三人を蹴散らしてしまう。

装着が解除され、絶体絶命のピンチに陥る三人。
その時・・・
ジャスティクリスタルへ、三人のジャスティパワーが集結し
さらに翔太が宙を舞い、光に包まれたその時。

蒼き星の勇者・ジャスティライザーシロガネが誕生した。
ジャスティアームズを用いツインズナイトの攻撃を食い止めてしまう。
続いて攻撃するのかと思われたが、アームズをしまい戦いを停めるアピールを行うシロガネ。
ツインズナイトへ背中を向けたが、武器を振り上げたその瞬間に振り返りざま袈裟斬り。
ツインズナイトを撃破してしまう。
一瞬、涙のような光をこぼしたと思いきやシロガネが消滅。

澪も、三人も気絶してしまった。


【レビュー】

シロガネ初登場回。
と同時に、東映ヒーロー作品および同社「不思議コメディシリーズ」で有名な浦沢義雄が
今回と次回を担当したことで特筆されることが多い。
実際、本放送時は浦沢氏執筆ということもあり話題を持っていかれつつも
いざ放送されてみるとその反応はかなり微妙なものであったことが今でも思い出される。

それは今思えば「東映作品で浦沢作品に触れているファン」と「超星神シリーズだけをとりあえず追いかけている視聴者」との間の温度差が原因ではある。
前者からすると、次回も含めていまいち弾け切れていない点がまず目に付いたろうし
後者から見れば、それまでとあまりにノリが変わっている為に拒絶反応が少なからず出たからだろう。
また、ヒーロー物はとりあえず追いかけるタイプの視聴者から見ても
「よりによってヒーロー強化回で何故浦沢を?」という反応も多かった。
確かに一見すれば浦沢氏の投入したネタの要素はアクが強いため、敬遠する向きも多いのは判るのだが――――――

そこを無視してみると、しっかりとそれまでの話の伏線を拾って話を作っていることに気づく。
澪と真也の間柄もそうだが、なにより澪の「力に頼らない新しい正義の誕生」という部分は
それまで澪が思い悩んでいた、戦い以外の決着方法を探していた部分にも通じており
こうした点をしっかり見ておけば、流石ベテランであると納得できる作品になっているだろう。
もっとも、ジャスティライザー自体が注目度の低い作品であるのが災いしてしまい
そういった点が当時も、そして今までも省みられていなかったのはいかんともしがたいのだが・・・。


【特撮の見どころ】

・なし

今回前半はギャグめいたシュールなノリを受けてか、クッキーを作る澪や
伊達電器店でのシーンなどで極端に映像にフィルターがかかっていたり
またクッキーを焼いているセットや翔太と真也が釣りをしているセットなど、それとなくギャグっぽさが演出面で表現されている。

そしてツインズナイトがらみだが、ゴミ箱からの擬装解除のときもコミカルな映像だったり
名乗ったときに背後でナパームが炊かれたり、
後半のツインズナイトとの戦いでも何故か背後でナパームが炊かれていたりと、
どうも東宝側スタッフが、浦沢氏ということもあって「東映ヒーロー物風演出」をわざと入れてる感じすらある。
#ただしその演出も90年代初期までの東映ヒーローもののノリだが。

当時の雑誌「宇宙船」で、浦沢脚本を前にしたスタッフが頭を抱えたという話が書かれていたが
今こうして今回の話を見返してみると、むしろ東宝側スタッフが必要以上に構え過ぎたのではないかとも思える。

事実、今回で言えばランチと称しての野点風景(しかも曇天で日も落ちつつあった)や、何故かセットの釣りシーン、
ユカの通信を受けた際の真也と翔太のリアクションなど、ちょっとギャグっぽさを打ち出そうとし過ぎて
かえって東映作品ですら見ないような妙な映像になってしまっている。
恐らく脚本ではそこまで指示は無かっただろうという前提で書いているが、
スタッフが空回りしてしまった感すらある。