2014年12月29日月曜日

ジャスティライザー・第十話

第十話「貫け!信じあう心」

[幹部:ドクターゾラ]
サイバーナイト・ライノスレイブ
巨獣・トロイドン登場

監督:米田興弘    脚本:河田秀二

<博士のかなしみ>

冒頭、ある家へ伺う真也とユカ。
孫の健太の親、すなわち博士の娘夫婦の家である。

孫が亡くなってすぐにアパートへ引越し、それからは娘夫婦とは疎遠になったという。
博士は、孫がUFOに攫われたと言っていた件を告げると、博士の娘からは真相が告げられる。
10数年前、病弱だった孫を連れて古い神社へ連れて行った博士。
そこでプレートを見つけたところまでは本当なのだが、
自分が連れ出したことで孫が亡くなったと、責任を重く感じた博士は
「孫はUFOに連れ去られてしまった」と、妄想の世界へ逃避してしまったと真也は語る。
人は強い悲しみなどに直面したとき、その事実を無意識のうちに別の記憶に摩り替えてしまうことがある、とも。

そんな博士を信じて付いていく翔太の身を案ずる一同だったのだが・・・
心配を余所に、楽しそうにUFOの発着場といわれる場所へ向かう二人。
テントを張って、BBQを楽しみつつ自分の祖父はもう亡くなったとつぶやく翔太。
星空のもと、プレートを出すとプレートの赤い石が輝きだす。
博士は、これはオリオン座の力が秘められていると説明。

一方真也たちは、ステラプレートの謎を推測しつつ
それまで発見・破壊されたステラプレートの場所がオリオン座の星の位置と一致することに気づく。
そして、ステラプレートには地球のジャスティパワーと同等の力がこめられているのではないかとも。

翌日、巨獣・トロイドンが街中を強襲。逃げ惑う人々。
そのニュースを朝のキャンプ地で聞く翔太。
国防省のヘリが迎撃するが一向に歯が立たない。
出現した湾岸地区へ急ぐ真也とユカ。翔太たちをおびき寄せる罠であると予測した真也は
翔太は来なくていいから博士を守れと厳命、通信を切る。
仲間を案ずる翔太を見かねた博士は、自分も一緒に行けばいいのだろうという。
翔太に後悔させたくないんだ、仲間たちは。
博士のその言葉を受け、ともに湾岸地区へ向かう翔太。

<策謀>

国防省はトロイドンを迎撃するも、逆に戦闘機などを破壊されていく。
湾岸地区へたどり着いた真也たちは装着・ライゼロスを召還。
ジュウライザーへ合神し戦闘へ移る。
トロイドンは防御力・攻撃力ともに高いようでジュウライザーの攻撃をものともせず
接近戦でも、パワー負けせず逆に放電してダメージを与えていく。

湾岸地区の港では、翔太がグレンへ装着しライノスレイブと再戦。
やはり組み付かれて高熱攻撃に曝されピンチに陥ると
博士がプレートを持ち出し、ライノスレイブの気をそらす。
やがてプレートが破壊され、気を失った博士。

怒りに燃えるグレンが一撃必殺のブレイジングフレイムを放ちライノスレイブを撃破すると
次いでトロイドンを倒すべくダイヴイン。ケンライザーへ合神を行う。
ケンライザーでも苦戦を強いられるものの、組み付かれた瞬間にアームブレイザーでひるませ
メガヒートスラッシュにより撃破に成功する。

戦闘後。
プレートが破壊されたことをわびる翔太だが、博士はもう拘っていなかった。
12年間、孫が亡くなった現実から逃げていたこと、そして新しい孫・・・翔太との出会いが
それに向き合わせてくれたことで、博士は孫にサヨナラを告げられるようになったこと。
そんな博士の顔に笑みがこぼれた。


【レビュー】

オリオン座博士後編。
孫が亡くなったのは自分のせいだと、強い自責の念にかられた博士は
自らをオリオン座博士として、そして孫は宇宙人に連れ去られたと思い込むことで精神の安定を図っていた。
この博士を見て思い出すのは、UFOやオカルトを病的なまでに信じる人というのは
何かしらの心的外傷(トラウマ)から逃避するために、その原因をそれらに求める傾向があるという話があるということだ。

そうした事柄を物語、しかもヒーロー物に織り交ぜた点は評価されてもいいのだろうが
こういった一種サイコ的な話はどうやっても湿っぽいというか妙に重くなりがちで、
今回はその結末の爽やかさとのギャップのせいか、「本当にこんなでいいの?」という感想をどうしても抱いてしまった。
少しネタの取捨選択を誤ったような感すらある。

ただ、博士の話を可能な限り無視するなら、今回は久々の二面作戦を敵側が仕掛けたり
久しぶりの大プールを使ったセットでの撮影ということもあり、話はともかく特撮面・バトル面の
満足度は中々高いんじゃないかと思う。


【特撮の見どころ】

・トロイドンVS幻星神

トロイドンはその名前からして明らかにオトリ要員。もっともその目論見は早々に真也に見抜かれている。
ゴジラの鳴き声をややいじくった声はファンサービス的愛嬌か。

前回取り上げていなかったが、ライノスレイブに組み付かれて高熱攻撃を受けるグレンなどのVFX処理は中々見ごたえがある画に思う。
たんに色を付けただけじゃない点は好感が持てる。
一方で、トロイドンVSケンライザーの、炎が掠めたときにケンライザーの目が炎を反射しているカットは、その画自体はいいが
ゴーグル全体が反射しちゃっているのでどうも安直さが拭えない気がする。 いい画なのだが。