2015年4月16日木曜日

ジャスティライザー・第三十九話

第三十九話「新たな勇者」

[ボス:魔神ダルガ  幹部:コマンダー・アドロクス]
レジェンダー・ギャメリオン登場

監督:石井てるよし     脚本:真島浩一


<神野は信じられるか?>

冒頭。ハデス戦艦内ではジャスティライザーとデモンナイトが組むことに危機感を抱くダルガ。
しかしアドロクスは次の手を考えていた。
ライザー星の騎士を、ノルンが残したジャスティライザーが倒す。
それについては好きにしろと任せた口調のダルガ。
ギャメレオンに対して、作戦を指示するアドロクス。
アドロクスの作戦とは一体?そしてギャメレオンの真の力とは?


翔太とユカの下校風景。
ユカは前回のノルンから聞いた話・・・ ノルンの弟の話が引っかかっていた。
しかしライザー星の戦い自体が450年前(=地球でノルン艦隊がハデス艦隊と戦った頃)であり、
ユカの疑問にはいまいち腑に落ちない様子の翔太だったのだが
そこへ理緒と麻美が現われユカを強引に連れ去ってしまう。
あっけに取られる翔太。

公園では、麗香が一人神野のことについて考えていた。
自分達に襲い掛かった神野と、自分たちを助けた神野。どちらが本当の神野なのか――――――
知らないうちに合流していた澪に、考え事をしていたことを突っ込まれたが
誤魔化す様に伊達電器店へ戻ろうと澪を促す麗香。

理緒たちと買い物の道中、ユカが神野を目撃する。
神野は何かを考えているようなのか、困っているようなのか・・・


伊達電器店へ戻ったユカ。 そこには既に一同が揃っていた。
翔太は、今のうちに先制攻撃を仕掛けるべきだと提案しており、そのため場の空気がやや重い。
神野を仲間として受け容れようとする澪・翔太に対して
それは自分達を油断させる罠かもしれないという麗香に、敵対していた時からスパイとして接触していた以上、ダルガのスパイの可能性すらあると主張する真也。
バックヤードの扉の向こう側にはいつの間にか神野が居り、その一部始終を眺めた後に立ち去る。
そんな言い合いは平行線を辿り、ついにユカが飛び出していく。

河原では、神野が佇んでおりユカがそれに追いつく。
皆が俺を疑うのも当然だろう。 そうユカにつぶやいた神野。
ユカは、そんな神野についてまだ態度を決めかねているのだろうか?


翌日。
伊達電器店では健一が、ジン様(神野)が夕べから戻ってきていないことを独り言でつぶやく。
バックヤードでも翔太たちが神野の行方を案じていた。

街中。車で移動中の真也は道路を横切って施設内へ入っていこうとする神野を見かける。
それを追いかけていくと、デモンナイトに装着していた神野と出くわす。
ガントへ装着して対峙することに。
素早く、しかしトリッキーな戦い方がガントを翻弄。左腕を負傷させられてしまう。
次いでグレンとカゲリが合流するのだが、三人とは戦わずに逃げ出すデモンナイト。

伊達電器店バックヤードでは、だから言わんことじゃないと苛立つ麗香。
信じたことに対してさらに苛立つ翔太だったのだが、意外と冷静にデモンナイトの戦い方の違いを分析していた真也。
今までのデモンナイトの戦い方とはかけはなれていたことが、引っかかっていたようだ。
そして、あたしが確かめに行って来ると言いだし飛び出していったユカ。


<神野の苦悩>

ユカは、神野との河原の会話を思い出していた。
神野は言う。
自分の星を守れなかったどころか、ハデスの手下として悪の限りを尽くした自分。
それは、ライザー星の人々を裏切ったことになる。
だから、ジャスティライザーたちを裏切るかもしれない。
何故ならハデスに負けて手下になった男だから。

ハデスに操られていただけだとユカが反駁するが、しかしそれが自分にとっては許せない。
それが、俺の運命だからと神野。
そんな神野の指にはめられたスターリング・・・。 ミラが命がけで守ったそれは、神野自身が
伝説の騎士である証だけのものなのか?とユカが問いかけるが・・・。

そこまで思い出したところで、翔太から通信が入る。
神野へ会いに行くと答え、ユカが駆け出す。

その神野は、デモンナイトへ装着し公園内でナイトシュバートを振り乱していた。彼の心境や如何に。


ボートが止められている広場では、ユカがデモンナイトと出くわす。
そこまでのいきさつを通信で把握していた翔太たちがユカと合流しようとする。

ユカに対して、自分を止められるのはお前達しか居ないんだと歩み寄るが
後ろに回した手にはナイフが握り締められており、ユカの目前まで近寄った時
それを振り下ろしたデモンナイト。

だが、そのナイフは弾き飛ばされた。
攻撃が飛んできた側を見やると、そこにもデモンナイト。
デモンナイトが二人いることに動揺するユカ。 駆けつけた翔太たちもまた、首をかしげていた。
どちらかが、真也を襲った偽者だろうとユカが断じるのだが
二人のデモンナイトの戦いは、一撃で決まるだろうと見守る真也。
どちらが本物なのか、張りつめた空気が周囲を包む。


<リゲル・覚醒!>

しかしこの緊張感に耐えられない翔太がグレンへ装着。
両方へ斬りかかろうとしたが、グレン自身もまだ悩みがあるのかグレンソードを振り切れない。
そんなグレンへ、バカな真似はよせ「翔太」と声をかけるデモンナイト。
それを聞いたユカが、カゲリへ装着するともう一方のデモンナイトへファントムクラッシュを叩き込み吹き飛ぶデモンナイト。

すると・・・   ギャメレオンが倒れこんでいた。
グレンを翔太と呼ばなかったほうは、ギャメレオンが化けた偽者だった。
卑劣なギャメレオンに対し、グレンとカゲリ、ガント、そしてデモンナイトがにじり寄る。
デモンナイトが斬りかかる中、カゲリは他の二人に神野の正体を打ち明ける。

神野の正体、それはノルンの弟リゲル。
そして、スターリングはノルンとの肉親としての絆を示すものでもあった。
神野こそがライザー星の伝説の騎士リゲルであり、ライザー星を守るために艦隊を率いて戦ったが、結局負けてしまったノルンの弟・リゲルでもあった。

ギャメレオンの戦法に翻弄される四人。そのうちジャスティライザーの三人が倒されてしまい
残るはデモンナイト只一人。
ギャメレオンが姿を消して襲い掛かろうとするが、デモンナイトは精神を研ぎ澄ますことでその位置を把握。
一太刀浴びせることに成功する。


うろたえるギャメレオンに対し三人へ必殺技を打ち込むよう促すデモンナイト。
ブレイジングフレイムが、ファントムクラッシュが、バーサスカノン、そしてナイトクリーパーがギャメレオンに集中・撃破される。


ジャスティライザーの三人に、改めてライザー星の戦士リゲルこと神野・・・デモンナイト。
熾烈な戦いが予想されるダルガ戦において、心強い仲間が加わったのだ。



【レビュー】

遂に神野の正体が明かされると同時に、初めてジャスティライザーとの共闘が描かれた回である。
ダンハウザーから自身の謎を提示されてからここまで13話かけて、ようやく仲間となったデモンナイトことリゲル。
本作においては一番ヒロイズムを湛えた設定および人物像を持ったキャラと言ってもいいだろう。

今回、神野がノルンの弟リゲルであることに関しては先にユカが知ることとなり
本編後半から2つに分けてユカの回想という形で、神野自身の苦悩と正体とが視聴者にも提示されている。
また、前回現われたノルンの映像にて、ノルンの手には同じスターリングがはめられていたことも
ユカが神野に対して、味方ではあろうと確信しつつも何故同じリングを持っていたのか、
そしてそのリングは伝説の騎士の証以外に意味があるのだろう、と疑問をぶつけるユカが目を引く。

神野というキャラ自体は武人的性格ではあるが、それゆえ頑なな部分もあり
ジャスティライザーと共闘する今回までの間にはユカと澪、ミラと言った女性陣がそんな神野の心を徐々に開いていったことが一つのスパイスとなっていると言える。
もっともその女性陣の中でも、麗香だけは疑惑の目を向けていたのだがこれは・・・。


ギャメレオンがそのスキを(結果的にとはいえ)衝いた形で、ジャスティライザーとの間にさらなる不信を抱かせようとしていたのだが
結果的に神野の正体が知れたところで一気に和解・共闘するようになる流れはホっとするものがある。
ハデス戦ラスト付近の時点で、翔太と神野の間ではそれほどわだかまりがなくなっていたこと、
そして今回前半の、真也が戦ったデモンナイトが神野の戦い方とは違うものだったこと、
更にユカへ打ち明けた自分の苦悩と正体。
ジャスティライザーたちと合流するまでの流れの積み重ねとしては、充分すぎるデキだろう。


とはいえ演出がどうもぎこちないというか、ぶっきらぼうな印象が強いのはいただけない。
石井監督回は、キャラクタードラマの描写については文句がないのだが
その一方ヒーロー物としての戦闘への流れなどが雑だったり適当なきらいがある。
今回で言えば、二人のデモンナイトを前に翔太がグレンに装着してから偽者を見破るまでの流れ。
そしてユカと真也が装着した際わざわざ名乗りを(バンクではなく)そのまま付け足すカット。
さらには四人が並んで必殺技を放つカットなど。

最後に関してはアクション監督の責任もあるのかもしれないが、石井監督回は特に
付け足さなくてもいい演出を付け足したり、ヘンにカットを割ってしまう癖が見受けられる。
キャラドラマ面の演出については、本当に文句のつけようがないだけに残念ではある。


レビューからはずれるが、個人的にさらに言いたいことがある。 この回の印象がギャグとして残っている当時の視聴者が意外と多い。
それは挿入歌「三つのチカラ」に合わせて四人が必殺技を放つカットがその印象を強くしているようだが
その歌自体はあくまで「ジャスティパワーを持つジャスティライザー三人」の歌であり、当然「ライザーパワーを持つライザー星の騎士リゲルであるデモンナイト」が入らないのは当たり前なわけだ。
なのに、何故か「四人なのにこの歌のせいで一人仲間はずれ」というギャグめいた見方が定着してしまっている。


当時から形を変えて生き延びている、ぱっと見でネタっぽく見える部分を極端に拡大解釈して弄るネット実況のスタイルのせいで
実態から酷く歪まされた一例とも言える。
#実はこの見方の一番の被害者が本シリーズであるが・・・。

#もっとも、リゲルとして記憶が蘇って以降もハデス親衛隊の戦士としての「デモンナイト」の名前を引きずることについては妙といえば妙だが。
#このへんは商品展開の上でもしょうがない部分なのかもしれない。 「デモンナイト」の商品が売ってるんだし。

ただし、別にネット実況そのものを悪いものとして挙げているわけではないので念のため。
悪ノリが面白いという気持ちは自分も良くわかるし、某ウーパールーパーのサイトなども最たるものだが
ああいうノリが悪いとも思わない。
ただ、自分の本シリーズに対する向き合い方が時間を経るにつれて変化したせいで
自分自身がそういったノリからズレてしまったことは強調させていただく。


【特撮の見どころ】

・なし

合成面では見どころもちょこちょこあるのだが特記するまでのインパクトはない。
終盤、ギャメレオンが光学迷彩のような感じで姿を消すカットが目に付くくらいか。

今回の殺陣は、ボートのドック内での戦いであるが縦横無尽に、ワイヤーアクションなどを駆使して
動き回るギャメレオンが目に付く。
また、前半の偽デモンナイトの殺陣もちょっと変で面白い。