2015年4月25日土曜日

セイザーX・第五話

第五話「探検!シャーク4を探せ」

[宇宙海賊デスカル]

演出:米田興弘    脚本:河田秀二


<山中の鮫>

冒頭、広告の撮影のバイト中の拓人をキャプチャ光線で拾い上げるレミー。
アドからの呼び出しに文句たらたらの拓人はあいつが俺たちのリーダーなのかよと毒づくが
レミーは「私たちのリーダーはシャーク隊長一人だけ」と訂正させる。

中尾山登山口では、既に集合していたアドとケインが待ち構えていた。
ケインの手元にある古文書を紐解きつつ今回の召集の目的が語られる。
ここでコスモカプセル反応があり、近所の老人から古文書を借りてきたという。

古文書にはコスモカプセル・シャーク4のような絵が描かれていた。
そこには誰かがその球体で虫を巨大化させてしまった顛末が書かれている。
球体は山のどこかに封印されており、記されている地図にヒントがあるとアド。
ゴンベエという人物が根も葉もない噂を流され耐え忍んだという話が書かれていた。
ケインが諺の「人のうわさも七十五日」を、その話から想起したことをキッカケにアドがひらめく。
地図上の七と七、五と五を線で結び、さらに線の交差点を見出す。
その地点へ赴く一同だったが、レミーが何かに気がつき呼び止める。


そもそもシャーク隊長は1960年に一度出会っており、その時点でコスモカプセルを12個集め終えていた。
その時宗二郎と会っており、2005年に宇宙海賊が現われることなどを告げていたのだが
12個集めたコスモカプセルは何故かまたもや散らばってしまったのだと言う。
そんな話の最中、山中からは爆発音が連続して聞かれた。
ブレアードたちもギグファイターを用いてコスモカプセル捜索に乗り出していたようだ。

レミーは村へ行くことになった。ひょっとしたら村人の誰かが持っているかもしれない。
三人に古文書から導き出された隠し場所へ行くように促す。
レミーにとってシャーク隊長は父親のような人物であり、そんな彼のために役に立ちたい一心で
セイザーXの一員になったとケインが拓人に説明する。
村へ赴いたレミーだが、結局手がかりは何も手に入れられなかった。
ついでと言ってはなんだが、拓人がリーダーを誰にするか決めようぜと提案し
拓人にあっさり決まったが指示は俺が出すとそっけないアド。


一方古文書のヒントにしたがって隠し場所と思しき地点へ出向いた三人。
古文書をスキャンしてヒントを探すが、ケインはその内容を見て「雨だれ石を穿つ」の諺を思い出す。
そこでアドは「穴の開いた石を探す」と、手分けして捜すことになった。


山中の別地点ではなおもブレアードが爆発をそこらに巻き起こしていたがやはり見つからない
ウンザリしているアクアルが他へ目をやると、拓人たちに合流しようとするレミーを見つける。
手間が省けそうね、と嗤うアクアル。


<古きを尋ねるのだが>

そうとは知らず三人と落ち合うレミー。
ケインが穴の開いた石を見つけ、古文書を再度確認するアドだったが面倒くさがった拓人が穴に木の棒を突っ込んでしまう。
すると、岩壁の一部が門のように開いた。  その奥へ入っていく一同。

入った場所は隠し場所そのものではなく、隠し場所を知らせるための部屋に入る。
コスモカプセルは別の場所にあるようだ。
とりあえず壁面に並んだ三人の記念撮影をするケイン。
部屋の壁面にはまたもや地図が描かれているが、古文書と違い印のようなものはない。
三度古文書の文章をスキャン、ケインは「火の無い所に煙は立たない」と言う。
そこでアドは片っ端から火をつけろと指示。

火の光が、壁面に埋め込まれた宝石などを照らす。
宝石から光が発せられ、それはバラバラにあちこち飛び散るがやがて壁面地図の一箇所へ収束。
光の当たった場所が隠し場所を示しているのだろう。

そこまで確認した一同の前に、三将軍が立ちはだかる。
ブレアードと殴りあうライオに頭を痛めるアドだが、アクアルが攻撃を仕掛け古文書を落としてしまう。
それを拾ったサイクリードとアクアルがブレアードを拾って撤退。


山中ではサイクリードが古文書の一部分を見て何かを思いついた。
恐獣はこれでいくらでも作れるじゃないかと高笑いをしつつ、コスモカプセルをクワガタムシへかざし
エネルギーを浴びせてみたのだが、微妙なサイズで止まってしまう。
呆れるブレアードとアクアル。


<リーダー>

一方ライオキャリアーに集まる一同は、壁面の地図に記された地点を空中から捜そうとするのだが
誰も示された地点を覚えていない。そこでケインが先ほど記念撮影を行った画像を映し出した。
アドで隠れた場所をカプセイザーG2が解析した結果、なんとか場所の特定に成功しそこへ降り立つ。
隠し場所は自然の洞窟内。 そこには数々のワナが仕掛けられている事が古文書に記されていたのをアドが記憶していた。
誰が先に行くのか揉める拓人とアドを横目に、自分が先に行くとレミーがライトをもって入っていく。
しかし洞窟の中はワナだらけであり、レミーもやや足取りが重い。
拓人がライトを横取りし、先に行くというがシャーク4を取った奴がリーダーな!とレミーにも約束させる。

洞窟入口では三将軍も合流していた。アクアルはセイザーXが持ち出したところを奪えばいいと言うのだが
面倒臭がるブレアードが一人で先に洞窟の中に入っていく。
そんなブレアードは一同を抜き去っていくが、拓人が血気にはやって装着し追いかけていく。
合流したブレアードとライオだが、その行く先々でトラップに出くわしボロボロになる。

壁を破壊して、別の部屋へ移動するライオとブレアード。装着も解けてしまう。
その部屋には文字が幾つも描かれた壁があり、これがどうやら隠し場所を守る最後の場所のようでもある。
やがてアクアルとサイクリードも合流し、おとなしくコスモカプセルを渡せと詰め寄るのだが
古文書が無ければ、壁の謎は解けないとアドが返す。

サイクリードが古文書を返す。アドが四度古文書を解析するがレミーがその内容から
「温故知新」の四字熟語を思い出す。
壁面に書かれた文字をそれぞれ押す一同。 すると壁の下部が開く。
中を確認するが何も入っていない。

そんな時ブレアードが起き出し、火の玉を壁面へぶつける。
「崩」の字に当たったとき、突如洞窟が崩れ出す。
イーグルとビートルへ装着し、拓人とレミーを外へ連れ出した二人。
続いてブレアードを拾って逃げ出すアクアルとサイクリードだが、古文書は三将軍の手に渡る。
もう必要は無くなったとイーグル。


下山する一同。すると麓近くの地蔵を拝んでいるおばあさんを見かけるレミー。
先ほど村で探し物をしていた時に世話になったおばあさんだったのだが、
その人が「おじいさんが骨董好きだったので、こんなのを持ってた」とレミーに見せると
それは、紛れも無くコスモカプセル・シャーク4だった。
あんたにあげるよ、とおばあさんがレミーへ渡してくれた。

拓人がリーダーは結局レミーかよ!とぼやくがレミーは
「私たちのリーダーはただ一人、シャーク隊長だけ」と拓人へ言い返す。
レミーがシャーク4をかざし、笑顔を見せる。
いつかまたシャーク隊長と会えることを願って。


【レビュー】

今回はシャーク4を巡るストーリーだが、レミーによる本来の所有者でもあるシャーク隊長への思いも描かれている。
とはいえ前半部でアッサリ目に説明されただけで、あとはシャーク4捜索のドタバタ劇となっている。
とは言いつつも話としてはレミーに始まりレミーに終わると言っていい。

そんな今回だが、本作特有のコミカルテイストの中にあるスラップスティック的要素と
落語的な「ネタとストーリーの展開の結びつきの妙」が光る回となっている。
特に後者は、古文書を解析した後にケインやレミーが言う諺や故事成語によって
隠し場所のヒントを解き明かすというストーリー展開となっており
強引さは否めないが、これはこれで一種教育番組的ノリのあるコメディといった趣がある。

前者のスラップスティック的な部分は後半のブレアードとライオによる一連のトラップ突破シーンからの展開が全て。

スラップスティックと落語的な「うまい話の流れ」が融合した、贅沢な回である。
その落語的なノリ自体も、レミーがシャーク4を結局手に入れたオチでしっかり〆られており
最後にレミーが拓人を嗜めたシーンも込みで非の打ち所のない話といっていいだろう。

戦闘シーンらしいものが殆どないことも、今回のストーリーをより一層際立たせているが
一方でサイクリードが古文書を参考にクワガタムシを巨大化させようとしたシーンなど
次回へのヒキもそれとなく見せているところが憎い。


【特撮の見どころ】

・トラップ各種
・壁面から入口

今回は全部CGやVFX主体。
後者の壁面の一部が門のようになるカットは、よく見るとパースが狂っているのが気にはなる。

前者だが、これは後半のトラップ数種の中から
最初の弓矢と最後の火炎放射がCGである点。
今作にもなると割と見せ方も手馴れてきていることがよく判る。

見どころでは挙げなかったが気になる映像としては、
最初にブレアードと殴りあうライオのパンチ技(ヒートナックル)のVFX。
タリアスやグレンも同じような技を使っていたが、どうもスタッフお気に入りの技のようである。

あとは森の中で火球を投げつけそこらを燃やしているブレアード。
火球で木の根元が燃えているカットがあるのだが、火自体は実際に付けているのだろうか・・・。
4本くらい燃えているんだけど、VFXにしてはかなりリアルな炎だし。