2015年4月17日金曜日

ジャスティライザー・第四十三話

第四十三話「最高のヒーロー」

[ボス:魔神ダルガ  幹部:コマンダー・アドロクス]
ドクターゾラ
ゼネラルバッカス登場

監督:米田興弘     脚本:上代 務


<喪われた紅蓮>

伊達電器店。 店の社服を着て店の手伝いをしている翔太。
インローダーが消滅したわけは、ユカの命を救うためにインローダーに込められた
ジャスティパワーが全て放出されてしまったからだと澪が説明する。
真也と神野の表情は重いが、翔太を責めないでくれとユカ。
社服を脱いだ翔太が、いつもの軽い調子でなんとかなると言い放ちつつ、
腕時計をユカにプレゼントして出て行ってしまった。

公園では、インローダーが消えたこととダルガがもうすぐ来るだろうに戦力になれない自分に対する苛立ちを発散する翔太。
すっかり意気消沈する翔太を、ランニング中の松坂直人が目にする。
翔太に合流し、栄養ドリンクを手渡す直人。

直人は翔太に、ある男と君がよく似ていると語る。
その男の名は弓道天馬。  翔太と同じジェット便で働いていた。
翔太同様に、単純で、真っ直ぐだが正義感に溢れた熱い男だった。
そんな翔太評は、普段源太郎から言われていたものそのままだったが直人はさらに続ける。
こないだ来たときの目は澄んで輝いていたのに、今の翔太は悩みをそのまま表したかのような瞳となっていた。


そんな翔太を、直人は付いて来いと促す。
その場所は直人のジム。
OFGを着用させ、翔太にかかってこいと言い放つ直人。
伝説の格闘家相手なんか務まるわけがないと弱音を吐く翔太だが
君は困難に直面したとき逃げ出す男か?と直人が言い返す。
迷った時こそ一歩前に出る勇気を持て、少しの勇気さえあればどんな敵にも立ち向かえる。
誰でもヒーローになれるんだ。

その言葉を聞いた翔太の目が見開かれ、ゴングが鳴り響く。


<燃え尽きた灰の中より>

一方のハデス戦艦内では、生きていたユカに対して怒りを露にするゾラ。
ゾラは、自分を倒したニンライザー(カゲリ)に対しての怨念を抱いて復活したのだ。
さらにバッカスもデモンナイトへの恨みを忘れていなかった。
二人の記憶が、時間と共に蘇ったようだ。 当然アドロクスの指示を聞かず二人は去っていく。
しかし・・・ 所詮使い捨てのコマとして扱っていたアドロクスは意にも介さない風であった。


ユカは、翔太が訪れていそうな場所を探していたようだが、最後に来たのは
いつも訓練などを行っていたあの神社。
テストの結果を神頼みしたり、竹刀を振り下ろして特訓にはげむ翔太が思い起こされた。
そこへ神野もかけつける。 神野もまた、仲間として翔太を心配していたから。

そんな二人の前にバッカスが現われる。
非道の限りを尽くした暗黒騎士が仲間などとは片腹痛いと吐き捨て挑発するバッカス。
さらにゾラまで現れ、二人に対して装着して戦えと叫ぶ。

一方直人のジムから出た翔太は、ザコールの一団と出くわす。
アドロクスが仕向けたものである。 カゲリとデモンナイトのもとに合流させないためだが
装着できない翔太は生身で戦うこととなる。
その状況を見かけた直人が、翔太に加勢。 逃げろと言う直人だが
先ほど直人に諭された言葉を返し、二人でザコールと戦うことになる。

なんとかザコールを撃破した二人。
直人は改めて天馬とソックリだと翔太を評する。
ただ、ザコールたちについて引っかかっていた直人。 翔太はザコールが現われた意図を察したのか
急いでカゲリたちの元へ駆け出していった。


<炎立つ>

伊達電器店バックヤードでは、グレン抜きで残り三人の力をいかに有効活用すれば
ダルガ帝国軍と戦い抜くことができるのか、それを計算・検討していた真也。
グレンが居なければシロガネも居ないし、ジャスティカイザーも使えない。
そんな状態でどう戦い抜くのか――――――
翔太のことが気がかりじゃないのかと麗香に言われるが
翔太はきっと帰ってくる。何故なら仲間だからだと返す。
澪のジャスティクリスタルが赤く輝き出す。何か不穏な出来事が起こらなければいいのだが・・・。


神社境内ではカゲリ・デモンナイトとゾラ・バッカスの戦いが続く。
ジャスティライザーの光り方に不安なものを感じ、ガントと澪たちが駆けつけてきたが
そのタイミングでアドロクスまで現われる。
戦いは6メンタッグマッチの様相を呈してきたが、なおも赤く光るジャスティクリスタル。

神社へ駆けつけた翔太だが、装着できない翔太が叫ぶ。
ほんの少しの勇気さえあれば、誰でもヒーローになれるんだ!
現われたザコールたちを殴り飛ばす翔太。
しかし背後からアドロクスが攻撃を仕掛け、躓かされてしまう。
直人も駆けつけ、戦いを見守る。


翔太が怒りに燃え、アドロクスへ駆け出す。
その翔太へクリスタルの赤い光が飛び出し、紅蓮の炎に包んだ。
すると――――――  グレンの姿へ変わった翔太。
アドロクスの顔面へパンチを浴びせ、さらにゾラへ殴りかかるグレン。

それを見た直人の目には、セイザータリアスの姿がグレンとダブって見えた。
左手を硬く握り締め、直人がザコールへ殴りかかる。
既に装着能力を喪ったにも関わらず、その直人の姿にはセイザータウロンを思わせるものがあった。

ゾラにブレイジングフレイムを放ち、さらにファントムクラッシュを打ち込み撃破。
続いてバッカスへナイトクリーパーとバーサスカノンのあわせ技で倒すことに成功した。
残るアドロクスは退散。


戦後。
地球の意思により再び選ばれたのだ、と澪が翔太に告げる。
これで再び四人で戦えるようになったことを喜ぶ一同。
それを見守り、立ち去る直人だが翔太が駆け寄り何かを言おうとする。
直人は何も言わず、ファイティングポーズを取る事でそれに応えた。

松坂直人、最高のヒーローだ。  何も知らないほかのメンバーに翔太はそう言った。


さらにその後。
腕時計を気に入ったユカだが、プレゼントの理由は誕生日プレゼントだと翔太が言う。
しかしユカは二月に誕生日があったと言う。 すぐ欲しいようだったし・・・とあたふたする翔太でEND.


【レビュー】

翔太がインローダーを再び手に入れる回。
一度喪った力を取り戻す。 これは過去のヒーロー物で形を変えつつもよく見られた話だ。
今回のポイントとしては直人の存在が大きい。
「悩んだら一歩踏み出せ」というセリフ自体は、実は第一話で源太郎が言っていたことだが
改めて別な大人である直人が言うことで、更に翔太の迷いが吹っ切れていくのはいい流れだ。
視聴者視点で言えば、直人自身もグランセイザーとしての戦いを切り抜けた人間であるが故に
「ちょっとの勇気があれば誰でもヒーローになれる」という言葉もまた、説得力がある。
#また、左手には涼子と結ばれた証がはめられていたことに気づいたファンも多いことだろう。


今回は名前のみとはいえ天馬に言及されていたが、翔太と同じくジェット便で仕事をしていただけあってちゃんと意味がある。
話のスジとしては、翔太がユカとのすれ違いから起こった連携不足によってユカが倒され
蘇らせるためにジャスティパワーを全て使い果たした翔太が、再度グレンへ装着できるようになるというものだが
いわゆるゲスト回といえる今回に、うまくドラマ上でもストーリー上でも違和感無く当てはまったのはポイントが高い。

また、神野の口から改めて翔太は仲間という発言が出てきたり
真也がグレンが居ない状態では様々不利である以上残った戦力でいかに戦うかを検討しているシーンなど
それまでの人物像の積み重ねや基本的な設定がしっかり話の上で反映されている。
正直、今作の全51話の中でもっとも内容の詰まった回と言っても過言ではない。
前作からのゲスト・直人が先に出た洸や未加と違ってしっかりドラマに関わっていたのが大きな要因とも言える。
#洸は当時からよくネットでネタにされていたセリフを言うためだけに来たようなものだし
#未加にいたってはあれじゃ別にいないほうがいいとしか思えないし


翔太とユカのすれ違いがあっさり解消していることに物足りなさを覚える年長の視聴者も居ただろうが、
改めて見直すとこれはこれでいいんじゃないかなとも思った。
そもそも話も終盤に差し掛かっている状況でまた惚れた晴れたで揉めるのも違う気もするし
翔太とユカの二人の性格を考えるとこれくらいアッサリ目でも良い気もする。
それに、男女間や友人間のドロドロが見たいなら他の作品を見ていればいいだけの話だろう。

と、ここまで書いてやっぱりヒーロー物に恋愛ドラマや青春ドラマを導入することの難しさも感じさせられてしまったが・・・。


ゾラとバッカスに関してはほとんど刺身のツマみたいな感じになってしまっている。
戦闘も前回と比べ今回はやけにアッサリ気味ではあった。
そんな中でもゾラがカゲリに拘る描写とバッカスのデモンナイトに対するそれをしっかり提示しているため
決してただぞんざいな復活怪人というわけでもない点も良い。
特にゾラへのトドメはカゲリというのも注目度は高い。


【特撮の見どころ】

・なし


二連続でないというのもどうかと思うが、今回に関しては仕方ない側面もある。
合成に関しても別に特記するほど悪い部分も無ければ、更に良くなったものもない。
これはこれで、合成が安定してきたとも言えよう。