2015年4月16日木曜日

ジャスティライザー・第四十話

第四十話「逃避行!少年と澪」

[ボス:魔神ダルガ  幹部:コマンダー・アドロクス]
レジェンダー・アルミュール登場

監督:鈴木健二     脚本:河田秀二


<狙いを絞る>

冒頭。ハデス艦隊内では度々の失敗報告に苛立つダルガ(の立体映像)。
成功のためには多少の失敗はつき物だと言い訳するアドロクスだが
それを一蹴。結果を出せと怒鳴り消えるダルガ。
ジャスティクリスタルとライザーストーンの二つを狙うことに無理があるため
対象をジャスティクリスタルのみに絞って奪取作戦を立てることに。
レジェンダー・アルミュールが作戦実行の担当となった。


伊達電器店バックヤードでは、英語のテストのために勉強中の翔太。
しかし相変わらず勉強が苦手な翔太は苦い顔でユカの叱咤を受ける。
勉強できねぇのはオヤジ見りゃわかるだろ!と逃げ出す翔太を
努力すれば乗り越えられるでしょ!と追い掛け回すユカ。

店外に出た二人は、翔太の親友・徹とその甥と出くわす。
徹の姉の子供だそうだが、入院してしまったとの事。 それ以来徹の家で預かっているようだが
お母さんっ子の甥・・・和也は寂しさからか表情が暗い。
徹自身は、デートの約束があるため夕方まで出かける事に。

そうした経緯で、勉強を忘れ和也のお守りをすることになった翔太たち一同。
女性陣は後ろで眺めていた。 神野は敵のアジトを探すために単独行動をとっているとのこと。

サッカーのリフティングなどで遊んでいた翔太と真也。しかし和也はあまり興味がないようで
自分が持ってきていた星座の絵本を読み出した。
それに気づいた澪が、和也と一緒になって絵本に描かれた女神を見る。
天秤座の女神。 彼女の名前はアストレアと和也がつぶやく。

そんな澪と和也の背後からアルミュールが登場。
翔太と真也が装着して立ち向かうが頑丈なアルミュールには攻撃が全く通じていない。
またザコールの一団も現われ、ユカと麗香が立ち向かう。
澪は和也の手を引いて逃げ出す。
澪がいなくなったことで、アルミュールもグレンたちの前から姿を消し、澪の目の前に現われる。
和也を別の道へ逃がした澪だが、アルミュールがジャスティクリスタルを澪から奪い去ってしまう・・・

しかし、ジャスティクリスタルが輝き出すとアルミュールはたまらず投げ飛ばしてしまう。
和也の足元に転がり、それを持って逃げ出す和也。
神社の境内までアルミュールが追いかけていくのだが、素早く逃げ去った和也を見失ってしまった。
アルミュールも去った神社に澪たちが合流するが、和也の姿が見えない。
澪が視点を下げると、和也の背負った袋に縫い付けられていた宇宙船のぬいぐるみが落ちている。
それを拾い、和也の行方を捜す澪たち。


<正義を司る女神>

やがて街中の工事現場に来た澪は、機材置き場に身を潜めていた和也を見つける。
ジャスティクリスタルを貰い、澪も宇宙船のぬいぐるみを返すと
二人で公園まで歩いていくことに。

その袋はお母さんの手づくりなの?と尋ねると和也は急に表情が沈む。
そんな和也の手を握り、優しく微笑む澪。
和也は寂しさのあまりに澪に寄りかかる。


公園のフィールドアスレチックまでたどり着くと、袋の中からまた絵本を取り出す和也。
挟まっていた物を見ると、母と和也が仲良く写っている写真。
お母さんに早く会えるといいね、と澪が和也を元気づける。

澪の携帯電話が鳴る。麗香からの連絡で、和也と一緒に居ると伝えた次の瞬間
ザコールとアルミュールが澪たちのもとに再度襲来。
その様子は電話口で麗香とユカが知ることとなり急行するが・・・。
逃げる最中、胸元からクリスタルを外す澪。

アスレチックを巧みに用いてザコールからうまく逃げる澪と和也だが、やがて追いつかれてしまう。
和也を逃がそうと手を離す澪。
しかし、和也が突如絵本の入った袋の中にクリスタルがあると誘導。
ザコールにつかまってしまう和也だが、それを見た澪がクリスタルを改めてアルミュールに見せる。
クリスタルは手に入れられないわと言う澪だが、ならばお前ごと攫うまでとアルミュールがにじり寄ると、背後からジャスティライザーが合流。

三人がかりでアルミュールに立ち向かうが、案の定頑丈なアルミュールには手も足も出ない。
奇襲を用いても効果は無かったが、不意を衝いたスラッシュブレイザーでアルミュールの角とアーマーに傷をつけることに成功。
うろたえるアルミュールだが、戦いは次に預けておくとばかりに退散。

戦いを見守っていた和也は澪に、あの人たちは?と尋ねると 澪は星の戦士達、と返す。
和也は「じゃあおねえちゃんはアストレアだね」と、澪に返した。
正義の女神といわれ喜ぶ澪。


夜中の伊達電器店では、フラれた徹が戻ってくる。
店内では和也が女性陣と星座クイズを繰り広げ楽しんでいた。
澪を連れて店外に出ると、空には天秤座と乙女座が輝いていた。
それを見つめ談笑する澪と和也は、まるで親子のようにも見えたのだった。


【レビュー】

珍しく澪メインで話が進んだ回。
と同時に翔太の友達である徹の甥っ子もドラマに関わっており、このあたりが本作の、
ヒーローの周囲の人間との関わりを可能な限り描写している一端が見て取れる。
#普通、子供がゲストで出てくる回は突然現われる赤の他人というパターンが多い。

その甥っ子・和也は母親が入院中で沈んでいたのだが、そんな彼がドラマ上でのアクセントとなっている はず。
はず、と言ったのは、病気や怪我の内容がわからないとはいえ、そのうち退院するであろう母を思って寂しがる和也がイマイチピンと来ないから。
一応劇中では母親っ子ということで説明しきってしまっているが。
その上、和也がらみのシーンがウェットになりすぎている嫌いもある。
#特に、後半アルミュールから逃がそうと手を離した澪のカットからの展開

今回はジャスティクリスタルのみを狙うアドロクスの作戦だが、そのわりには緊張感が薄い。
後半のザコールを相手に遊具を使って逃げる澪たちのシーンもそうだったし、
その後のアルミュールVSジャスティライザーもギャグめいてしまったせいでもある。
#以前「文字通り頭を使う戦い」と指摘したのはこの回のこと

話自体はテンポよく進んでいるのだが、どうもネタだけで進んでしまった回という印象が強すぎる。
ジャスティライザーでの河田秀二は、ギャグ回担当という決まりでもあったのか?
と首を捻らざるを得ない。

河田秀二といえば本作前半のオリオン座博士などを思い出させるが、ちょっと似たような傾向というか
ゲストキャラの持つドラマが妙に重苦しい空気を纏ってしまっている回が目立つ気がする。
超能力青年もある意味そうだったが。

とはいえ、星座がらみのネタの中にさりげなく天秤座が混ざっていることに注目したい。
意図的か天然かはわからないが、グランセイザー第三十六話を思い出させてニヤリとしたものだ。
#くどいようだが河田秀二初脚本回。


【特撮の見どころ】

・なし

アスレチックを用いたザコールとの追いかけっこに、アルミュールに対して
「頭を使った戦い」をするグレンなど、ギャグ的なノリが全体的に漂っている。
ただし、こうしたノリは実際のところアドロクス幹部シリーズ全体に言えるものでもある。