2015年4月25日土曜日

セイザーX・第六話

第六話「最高のヒーロー」

[宇宙海賊デスカル]
宇宙海賊レゼッカー
合成恐獣ビグスタッグ登場

演出:米田興弘    脚本:河田秀二


<新たなる恐獣誕生>

冒頭。バルガレオン内で鎖でがんじがらめになっていたブレアード。
作戦の邪魔をされたくないアクアルによるものだった。
サイクリードは何かの装置を作成中。 
アクアルはレゼッカーを地上へ派遣。その手にはコスモカプセル・スワン6が握られている。


一方セイザーX。 アドはアドルイーグルでパトロール中のようだがコスモカプセル反応を感知し
反応のあった地点へ赴く。
地上では、拓人が公園で遊んでいる子供達を眺めている。
ライオキャリアーやビートバイザーのような玩具を手にしてあそぶ子供達を見て自分たちのことか!と気づく拓人だが
直後に子供達の一人の母親が現われ、その船(ライオキャリアーとビートバイザー)は人に迷惑をかける悪い人たちなのよとその玩具を取り上げ、子供をつれてどこかへ行ってしまう。
その様子を見て憮然とする拓人。


バルガレオン内ではついに装置が完成したと喜ぶサイクリード。
そこへ自分たちの手に入れたコスモカプセル・スタッグ5を置き、光線を発射。
前回巨大化させたクワガタムシへ再度浴びせると・・・  恐獣ビグスタッグとして巨大化してしまう。
レゼッカーとの二面作戦を開始する。

アドとゴルドが反応のあった地点へ降り立ったが何もないことに気づく。
しかし背後にはレゼッカーが居り、ゴルドへ奇襲を仕掛ける。 倒れこむゴルド。
イーグルへ装着し対峙・セイザーパッドで属性を調べようとするのだがレゼッカーに吹き飛ばされてしまう。


一方市街地では、ある会社の面接に向かっていた拓人が突如現われたビグスタッグを見つける。
続いてライオキャリアーも登場するが、他にいた志望者たちはそれを見て逃げ出す。
やはり拓人は納得行かない態度だったが、ライオへ装着しコアブレイバーへ乗り込む。
ビートバイザーも現われたが、レゼッカーと戦うイーグルかライオの援護に向かうか悩むケイン。
結局レミーの指示でイーグルのフォローへ向かうことになる。

グレートライオへ合神し、ビグスタッグと戦うのだが
それまでの恐獣と違いパワーで圧倒されてしまう。
空を飛ばれ、放電攻撃を受けさらにピンチに陥るライオがケインを呼ぶが
既に装着してレゼッカーと戦っており手遅れの状態。

しかし、突然ビグスタッグの体がバラバラになっていく。
原因がわからず慌てるサイクリード。毒づくブレアード。
一方でイーグルとビートルが、レゼッカーの油断を突いて撃破に成功する。
片付いたことを報告するイーグルだが、レミーはビグスタッグが消えたことを報告。


<感情の戦い>

戦闘後、ライオキャリアーに集合する一同。
戦闘の件で拓人と言い合いになるアド。
戦いに必要なのは的確な判断力だと言うアドだが
気持ちが無くてこんなことやってられるかと吐き捨てて出て行く拓人。
板ばさみとなっていたケインも、自分の立場がないとぼやく。


安藤家の居間では宗二郎と由衣が、ニュースを眺めていた。
先ほどの戦いが映し出されていたのだが、怪獣と流星神が一緒くたになって
街に被害を及ぼす存在として扱われてしまっている。
由衣はそれに異を唱えるのだが、そこに拓人が戻ってきていた。
世間ではデスカル同様に悪者扱いされていることに対して苛立ちを隠しきれない拓人だが
宗二郎は冷ややかに「お前は世間に感謝されたくて戦っているのか」と返す。
俺たちの気持ちはどうなるんだよと食い下がる拓人だが、だからお前は半人前なんだと切り捨てられる。
拓人は憤懣やるかたない心持で、家を飛び出していってしまう。
あれで諦めるなら、俺の見込み違いだと宗二郎はつぶやいた。


外では拓人とレミーが話をしていた。
レミーは拓人に、自分の戦っている理由を聞かれると「地球、いや宇宙の未来のために戦っている」と答える。
拓人は自分の戦う理由を、家族や近所の人や友達を守るために戦う気になったと言う。
アドや宗二郎はそうじゃないらしいとも言うが、考えることが苦手だからと言って突然走り出していく拓人。

走りつかれて芝生へ寝転がる拓人。
そこへ、野球で遊んでいた子供達が通りかかって先ほどのニュースについて話をしていた。
怪獣とロボットは悪いやつなんだぜ、と言う三人の子供と、怪獣が襲ってきたんだからロボットが来てビルが壊れたりするのは仕方ないじゃんと返す子供二人のグループに分かれていた。

「あの人たちはヒーローなんだぞ。仕事でやってるんだろうけど」と言われた子供が
「じゃあなんでアピールしないんだよ」と返すと
「ヒーローは正体を隠すもんなんだ、人から理解されなくても人のために戦うんだ」とやり返した子供たちの会話を眺めていた拓人。
自分の憤りを、子供達の言葉が解消してくれたのだろう。
その顔には再びやる気が漲っていた。 子供達に「それじゃ人知れず行ってくるからな!」と言い残して
レミーの通信を受け去っていく拓人。


<コンビネーション・バトル>

町では再度ビグスタッグが出現。アドルイーグルとビートバイザー、続いてライオキャリアーも合流。
イーグルの指示通りに戦うと言い出すライオ。 そこでマグナビートで戦うことが決まる。

マグナビートは遠距離戦のみならずパワーにも優れた流星神。
肉弾戦でダメージを与え、さらに一斉砲撃を浴びせる。
ダメージを負っているビグスタッグへのトドメはグレートライオ。ハウリングスラッシュで撃破に成功。
その様子は先ほどの子供達も見ていた。

ニュースでは、流星神が怪獣を撃退したことが伝えられている。
安藤家では、レポーターの「あの巨大ロボットと船は私たちを救おうとしているのでしょうか?」に対し由衣が文句をいうのだが
宗二郎は言わせておけ、とニヤリ。

アドが拓人に、どういう風の吹き回しだと尋ねる。
お前の指示に従ったほうが良いと思ったからだと返すと、 気持ちか・・・とつぶやくアド。
まだまだチームとしては未熟だが、少なくとも拓人には戦う自覚が芽生えつつあった。
これからも、人知れず戦うことを誓うのだった。


【レビュー】

今回は拓人を軸に物語が進む。 彼自身の戦う理由・・・家族や知り合い、友達のために戦うという
ごくごく身近な人を守るために戦うことを決意していた。
そんな情で戦う拓人と、理論派のアドとのぶつかり合いを見ていると前作ジャスティライザーの翔太と真也を彷彿とさせるものがあるが
それとの違いとしては拓人とアドのキャラクターが翔太と真也以上に極端に描かれていることと
そこから来る意見の相違が際立っていることが大きい。

一方デスカル側も、コスモカプセルの力によって地球上の生物を巨大化し恐獣として使役するようになり、何気に新展開も見られる。

今回特に目を引くのは宗二郎との言い合いから子供達の言い合いまでの流れ。
前者はヒーローものが割と避けがちな「ヒーローと世間」に触れたあたりだが
目的のためなら周りからなんと言われようとも構うことは無いと言い切る宗二郎と
自分に関わる周りの人々を守りたいから戦いたい拓人のやりとりが目を引く。
報道も好意的ではなくむしろセイザーXをはっきり悪者扱いしているが
よくよく考えれば街に被害を及ぼしている以上そう見られても仕方ないわけで、一種メタな視点もある。

後者は、当時はなかなかいいなと思っていたが今見返すとくどい。
イヤミな言い方になるがちょっとヒーローオタクに阿ったやりとりに見える。
それは、セイザーXを擁護する子供の論調がだいぶメタすぎる・・・ ヒーローオタク視点的意味でだが。
そこが鼻についてしまったものの、言っている内容とその前後の流れを考えればこれはこれで悪いことではないかなと思う。
まあ子供に言わせる時点でちょっと・・・と感じたのもあるのだが。


前回と今回が、今作における初の河田秀二脚本となるが
前作と打って変ってコミカルテイストの作風とマッチしている点に注目してもらいたい。
ジャスティライザーの時は空回りしていた河田脚本だが、今作では水を得た魚が如くの活躍を見せている。
前作と違ってちゃんと設定に沿った話作りをしている上で、キャラドラマ上でも広がりを持たせている。
そして林民夫脚本とはまた違う趣のコミカルテイストである点にも留意したい。
うまく言い表せないが、関東と関西の芸人くらいの違いがあるというべきだろうか。

※河田秀二→大阪生まれ  林民夫→神奈川生まれ
※調べてみると、二人の年齢は一歳しか違わない。 河田が上。


演出も米田監督のテンポの良いカットやシュールさを際立たせるカメラワークにより
本作独自のノリを生み出しているのも見逃せない。


【特撮の見どころ】

・ビグスタッグVS流星神

ジャスティライザーから御馴染みとなっている街中の戦闘。
今回に関してはまだセイザーXならでは、というものは感じない。
というかビグスタッグ自体がジャスティライザーのザリガンをちょっとひねった恐獣であるためか
前半戦と後半戦にはデジャヴすら感じる。
(前半はバラバラになって大量のクワガタムシが飛んでいくし、後半も撃破されたら大量のクワガタムシが飛んでいった)

怪獣に関しては川北紘一もネタギレ感があるのだろうか。