2015年4月14日火曜日

ジャスティライザー・第三十四話

第三十四話「新たなる戦いの序曲」

[ボス:魔神ダルガ  幹部:コマンダー・アドロクス]
レジェンダー・ヴァルガン登場

監督:村石宏實      脚本:上代 務


<流れ星の暗示するもの>

冒頭。山中ではカイザーハデス撃破を祝ってか皆でバーベキューを楽しむジャスティライザー一同。
しかし源太郎は、戦いが終わったことで澪たちとの別れを悲しんでいた。
ジャスティライザーとしての戦いはこれで終わった。折角皆が仲間としてまとまったのに
また離れ離れになっていくことが寂しいという源太郎。

そんな中、昼間にも関わらず山中へ流れ星が飛来。それに気づいた真也は
三人揃って落ちた方向へ歩んでいく。

その落下地点では、銀装束に身を固めた三人が、赤色の怪物に襲われていた。
マントを着ている女性は「姫」と呼ばれており、残りの二人が彼女を護衛している。
山中を逃げ惑うも足場の悪さからか、徐々に距離は縮まっていく。
木の裏に隠れる三人。姫は自分も戦うというが近習に止められ、もう一人の女性近習が姫のマントを羽織り、二人が身代わりとなって逃げ出す。
赤い怪物から放たれた銃撃の音が、真也の耳に届いた。 他の二人は気のせいだろうと言うのだが。


やがて近習たちが倒され、姫もまた赤い怪物に滝まで追い詰められてしまう。
「ミラ」と名前を呼ばれた彼女が、怪物によって滝から落とされる。
その叫び声を聞いたジャスティライザー三人が、滝のほうまで駆けつけていく。

いちはやく駆けつけた翔太により助けられたミラ。すぐ近くには赤い怪物――――――
ミラ曰く「ヴァルガン」と呼ばれる男が居た。
ヴァルガンが「その女は我々ダルガ帝国に反逆する者。ジャマをするならまとめて始末する」と
武器を向けてくる。


翔太がグレンへ装着し、ヴァルガンへ対峙。
後から駆けつけたユカと真也が、気絶したミラをバーベキュー中の源太郎たちへ預けグレンへ合流。
ジャスティライザー三人が揃い、ヴァルガンと戦うのだが
その前に突如、空間をゆがめ現れた一人の赤い男。

自らをアドロクスと名乗り、さらにジャスティライザーへ「もうすぐあんたたちは魔神ダルガのもとにひれ伏すことになる」と言い残し
ヴァルガンと共に消え去ってしまう。
ジャスティライザーの事を既に把握していたことを訝しがる三人。
カイザーハデスの仲間なのだろうか?


<伝説の騎士>

ハデス戦艦内にワープしたアドロクスとヴァルガン。
ハデスは既にジャスティライザーにより撃破されたこと、そしてその力の源であるジャスティパワーについて
魔神ダルガが興味を示し、手に入れようとしていること。
その上でヴァルガンの所属する特殊部隊・レジェンダーは自分の指揮下に入るよう指示するアドロクス。

アドロクス自身は、魔神ダルガが地球に到着するまでに
このハデス戦艦に残されたジャスティライザーの情報を分析するという。
ヴァルガンにはその間、ジャスティライザーを監視させつつも先ほど襲ったミラについては抹殺するように命令。


山では、気絶したミラが目を覚ます。
「伝説の騎士」と、グレンを呼んだミラ。 翔太の目の前に指輪をかざす。
スターリングと呼んでいるそれが反応しないことに疑問を覚え、ジャスティライザーの前から逃げ去ってしまう。
彼女には使命があるようだが、その使命とは・・・。


ハデス戦艦ではアドロクスがジャスティライザーの情報を閲覧中。
その中でデモンナイトに目が留まる。

そのデモンナイト―――――― 神野は、街中を彷徨っていた。
戦うことが俺の使命だ。 そう信じていた彼だが自分を洗脳・利用したハデスが倒され
ジャスティライザーと戦う理由も消滅してしまった彼はうつろな目をしていた。

そこへ現れたアドロクス。
面識があったらしい神野が、弟の敵討ちに兄ダルガがやってきたのか、と吐き捨てる。
自分を殺すつもりか?と続けた神野に対しアドロクスは
まだあんたには利用価値があるのよ。 そう神野に告げる。
グレンとの戦いに決着をつけていないことを指摘し、悔しいのだろうと笑いを浮かべるアドロクスに激昂する神野だが
アドロクスは消えてしまう。


山中。小高い丘の上では翔太とユカがミラをなだめようとするのだが、銃をしまう気配がない。
その丘の下からはヴァルガンがミラに狙いを定めていることに気づき、とっさに庇う翔太。
ミラを後ろに下げ、装着する翔太とユカ。
ヴァルガンとの戦いは遊具のある広場でおこなわれている。ミラを庇いながら見守るカゲリ。
さらに裏では、その戦いを見つめる神野。

しかし戦力差は大きいようで、グレン一人では太刀打ちできない。
グレンソードを弾き飛ばされてしまったグレンへカゲリがフォローに入るが、返り討ちにあってしまう。
やがてミラへ歩み寄るヴァルガン。光線銃で抵抗を試みるが効果なし。
武器を振り下ろすヴァルガンに、横から神野が呼び止める。
デモンナイトへ装着する神野を見て、左腕のブレスレットをライザーストーンと呼ぶミラ。

ナイトクリーパーでヴァルガンを一蹴したデモンナイトは、グレンソードをグレンへ投げ渡し
グレンとの一騎打ちを呼びかける。
しかし、そのデモンナイトを「伝説の騎士」と呼び、スターリングをかざすミラ。
今度はスターリングが反応し紫の光を放つのだが、デモンナイト自身が頭を抱え苦しみだす。
ハデスとの一騎打ち、滅びる星、ハデス艦隊の映像が蘇っていく神野。
装着が解けるほどの苦しみが神野を襲う。

その一部始終を見ていたアドロクスが「さぞや魔神ダルガもお喜びになるだろう」とつぶやく。

神野とミラ、そしてライザーストーンとは何か?
神野に過去なにがあったのだろうか?
さらに、魔神ダルガ帝国軍とは・・・?
新しい戦いが、始まろうとしていた。


【レビュー】

魔神ダルガ軍、その幹部であるアドロクス初登場。
また、別の任務についていた特殊部隊・レジェンダーも合流し新しい戦いの幕が開こうとしている回。
ここではヴァルガンが、ハデスがジャスティライザーに倒されたことを知らないところが
「元々別の任務のために、ミラを追って地球まで来た」ことを裏付けており芸が細かい。

そのミラは、劇中ではレジスタンスと呼ばれていたが、今回は彼女の持っていたスターリングと
神野の持っているライザーストーンと呼ばれる左腕のクリスタルにまつわる謎の提示とが
これからのストーリーおよびドラマの軸として機能していくこととなる。
前数話分で、神野が実は洗脳されているらしいことが視聴者には明らかにされてはいるのだが
劇中では少なくとも、ハデス以外がそれを知らないままであることも、ドラマの上ではポイントとなる。

今回の時点ではまだ、アドロクスはダルガが来るまでジャスティライザーの情報を集める程度の仕事しかしておらず
またヴァルガンも、ミラの抹殺とジャスティライザーの監視くらいしか行っていないため
今回と次回は、神野にまつわるドラマが展開される回と位置づけてもよさそうだ。

今回は殺陣で少し工夫しているのが目に付く。
後半のヴァルガンVSグレンと、ヴァルガンVSデモンナイト。

前者は木製遊具を間に挟んでの戦いで、イマイチ必然性を感じないシチュエーションに思える。
思えるのだが、遊具の下にもぐりこんでしまったせいで武器をふるいづらい二人と
やがて遊具下からはじき飛ばされるグレンなど、1VS1のシチュエーションだが
特殊な場所での戦いによる画の変化が目を引いた。

後者については、ヴァルガンへ連続して斬りつけるデモンナイトというシーンを
4、5カットを用いてスピーディーに演出していた点が良かった。
ちょっと小刻みすぎるきらいはあるものの、テンポが出ていて悪くないシーンだ。


一方キャラ付けで、地味に迷走しているのが麗香。
第二十五話の、澪のクッキー(キムチや塩辛の乗ってるもの)を食べておいしいと言っていたのだが
今回は焼肉にヨーグルトやジャムを塗ろうとした澪を、心の声入りで止めているカットがその迷走ぶりを表している。
スタッフ間でも麗香の扱いに関してはブレが大きいようだ。

「麗香の好みとして焼肉にヨーグルトは合わないだけでは?」
と言う解釈もできそうだが、それにしても初期のシュークリーム好きというキャラ付けといい
二十五話といい今回といい、これだけある意味定番とも言える食べ物のネタでここまでブレブレなのも珍しい。

麗香自身があまりストーリー・ドラマ両面で深く関わっていくキャラじゃないからだろうか?
#その割には健一みたいなコメディリリーフはキャラがブレていないが
#演者の正名僕蔵による部分も大きいのかもしれない。


【特撮の見どころ】

・ミラの光線銃の攻撃を受けるヴァルガン

ヴァルガンが手前で、ミラの攻撃を受けているカットがあるが
よく見たら着弾時にちゃんと光の照り返しがヴァルガンの体の凹凸部に反映されている。

超星神シリーズは、回によってはこうした細かい部分での合成を頑張っている一方
案外適当な合成も混ざってしまっており、このあたりのアンバランスさが最後まで改善されなかったシリーズでもある。
今回で言えば、前者は見どころに上げたシーンだが
後者は、前半部でミラが滝から落とされてしまうシーンの合成。
特にミラが滝に落下してからの水しぶきの合成はちょっと雑。 落ちているミラ自身の合成もちょっと雑めだが、
辛うじて見せ方でそうと感じさせないようにできている  はず。