2015年4月22日水曜日

セイザーX・第三話

第三話「白い旋風!ウインドイーグル」

[宇宙海賊デスカル]
宇宙海賊・アグラーグ
宇宙恐獣ウィンミラー登場

演出:市野龍一    脚本:林民夫


<水の策略>

冒頭。湾岸地区に突如恐獣・ウィンミラーが現われ暴れまわる。
これをアドルイーグルが出撃し迎撃しようとするのだが、コスモカプセル探知機(ソナー)が反応しないことを訝しがるアド。
ゴルドに恐獣をサーチさせているところに、拓人がライオキャリアーで登場し砲撃。
アドは砲撃をするなと言うもののウィンミラーに当たってしまい、サーチの最中だったが逃げられてしまった。

バルガレオン内では、アクアルが頭を使って戦うのよと言い放つ。
もう恐獣は二匹しかいないと心配するサイクリードや、気ばかり焦るブレアードを尻目に引き下がる彼女だが、その作戦は一体?


コスモカプセルの手がかりを得られたかもしれないのに逃げられてしまう。
それに苛立ち拓人に当たるアド。
アドルイーグルへ戻ったアドは、ビオード星の反乱作戦が失敗したことをシャーク隊長から伝えられる。

アドは、全宇宙のリーダー的存在である鷲座星系ビオード星の代表としてセイザーXの一員として戦っている。
その上未来では多くの仲間を喪ってしまっている為、宇宙を守るのは自分しか居ないという使命感があったとレミーから聞かされる拓人。


安藤家にて拓人を待ち受けていたアドは、再度拓人に話をする。
この戦いには拓人の力も必要だから、覚悟を決めて戦って欲しいと言う。
過去に来てしまうと二度と未来に戻れない未来の人間であるアドたちにとってはこの戦いは切実なものであった。
覚悟くらいしてるさ、と言う拓人に、まだ覚悟が足りないと返したアドは立ち去っていく。


<風の流星神>

一方アクアルは、アグラーグを引きつれある山中へ赴いていた。
彼女の作戦、それはウィンミラーを使った陽動である。
コスモカプセルの反応が山中にて認められたためアグラーグとギグファイターに掘り起こさせている最中。
レミーたちも先ほどの恐獣が何故現われたのか疑問に感じていたのだが
そんな中、ウィンミラーが再度登場する。
しかもケインと拓人の居るそれぞれの地点、合計三ヶ所に。

山中ではついにコスモカプセルを探し当てるアクアルたちだが、そこへアドが現われる。
ゴルドとともに装着して立ち向かっていく。
他の三人へ通信するイーグルだが、拓人は人々を守るのが第一だろ!と反発する。
俺が嘘を言うと思うか?と返し通信をきるイーグルだが、戦況は不利になる。
足を負傷しピンチに陥るが、ライオキャリアーで駆けつける拓人。

装着しアグラーグへ立ち向かっていくが、それを尻目にアクアルはコスモカプセル・スワン6を手に入れる。
続いてビートルが合流しアグラーグと戦うが、レミーがセイザーパッドで属性をサーチしたところ
アグラーグは水。よってイーグルが替わりに倒すこととなる。
高速移動でアグラーグを翻弄し、確実にダメージを負わせたうえで
コスモカプセル・イーグル2をイーグルブラスターへ装着。イーグルタイフーンで撃破する。

アクアルを追い詰めるセイザーXだったが、ウィンミラーを召還しコスモカプセルを持ったまま去っていく。
ライオにコアキャリバーへ乗るよう指示・オプティマイズビームをアドルイーグルが放出し赤く光る。
アドルイーグルもまた分離・変形しコアブレイバーを収納。
第二の流星神・ウインドイーグルが登場した。
イーグルライフルで距離を置いて攻撃する流星神だ。
羽を広げ空中からもライフルを乱射しウィンミラーに確実にダメージを負わせ、
とどめはツイスターシュートで刺した。

宇宙空間に居たバルガレオンを追っていたビートバイザーだったが、迎撃されてしまう。
撤退を指示するイーグル。


戦後。結局コスモカプセルを奪われてしまうが無事だったセイザーX。
俺は、この時代の宇宙海賊に簡単に制圧されてしまうような地球人を好きにはなれないが
自分の目的は全宇宙を守ること。好き嫌いの私情など挟まない。
だからお前も覚悟を決めろと、改めて拓人へ告げ立ち去っていくアド。

その背中を見て、俺だって覚悟を決めてるさと返す拓人。

●コスモカプセル →  セイザーX:4  デスカル:2


【レビュー】

第二の流星神・ウインドイーグル登場だが
ここでは三将軍のアクアルによる作戦指揮が行われており、これで三将軍のパーソナリティもほぼ提示されている。
面倒臭がりでさっさと行動に移すブレアードと、慎重派だがどこか抜けているサイクリード、
そして策略家であるアクアルとここまでで敵側のキャラクターを視聴者に示せている。

実はこのセイザーX、シリーズ中でも最後まで敵幹部・・・敵幹部といえるのか微妙なところだが・・・が登場することでも珍しい作品となっているが
それを反映してか、戦隊シリーズのように有名声優を起用している所も大きい。
ブレアードは伊藤健太郎。サイクリードは岸尾大輔(現・だいすけ)。アクアルは淺川悠。
それぞれ既にアニメでは名が知られている面々である。
#中盤にもさらに有名な声優が起用されており、このキャスティング方針を見ても
#どことなくこの当時の東映作品を意識している感もある。

また、三将軍のみ声にエフェクトを入れていないことが最大の特徴であるが気づいている人は居ただろうか?
前作までは一部例外を除いては、声にエフェクトをかけることが普通となっていたし
今作も一話限りの宇宙海賊に対してはエフェクトがかかっているので、そうした部分でもシリーズ中異例といっていいだろう。


今回はキャラクタードラマ面も若干進みかけている。具体的にはアド。
アドはビオード星の人間であり、自分が宇宙全体を守る意識はセイザーXの中で一番高い。
それゆえに高圧的な態度で地球人である拓人に対して衝突することが目立っていく。
#もっとも第一話からではあるが、本格的な対立は今回から。

過去の他社作品などでは、とにかく地球を守るという使命感だけはよく伝わる異星人ヒーローは多いが
しかしよくよく考えれば、全く縁のない星を守るため(というより地球を脅かしにきた敵と戦うためではあるが)にやって来るというのも変な話ではあるし
ある程度創作物を見て理解できる年齢の視聴者には引っかかりのある部分でもあろう。
そういう意味ではアドの、はっきりと地球人が嫌いだと言い切ったところは
その理屈を支える事実と共に見ているものには不快感を覚えるところもなく、腑に落ちる。

それに反駁する拓人も自分も覚悟は決めているさと言うのだが、しかし
未来には二度と帰れない悲壮な覚悟を持ってやってきたアドと比べると、その根拠が薄いように
見ている側にも感じられるのは良い。

一方同じく別の異星人だが緊張感の薄いケイン。彼に関しては次回がメイン回となる。
今回もやはり東京観光に勤しんだり、遊園地で子供とふれあったりほのぼのした雰囲気を持つ彼だが・・・。


【特撮の見どころ】

・ウィンミラーVSウインドイーグル

ウィンミラーが序盤に現われた湾岸地区の製油施設は、あまり本シリーズでは見ないシチュエーションでもある。
グランセイザーで1回やったくらいなような記憶がある。
実は東宝名物の大プールが既に撤去された後の撮影ということもあり、海はCGで表現されている。
ただ1カットだけ実際の水を使っているように見えるが、どこかのプールでも借りたのか?

ウインドイーグルの戦いでは、これまた本シリーズでは珍しい「空を飛んで戦うヒーローの操る巨大ロボ」という画がみられた。
ウィンミラーの頭上をグルグル回って攻撃しているが、あまり見ない画なので新鮮。
実際の映像はちょっと間が抜けた感じもしなくはないが。

しかしコアブレイバーに乗っているライオは照準兼砲撃役なのだろうか?
一応操縦はイーグルが務めているようなのだが。